「アーユルヴェーダのパンチャカルマ」を受けて来た

アーユルヴェーダ
午後のスナックとチャイ(ナシュタ)
日替わりのスナックはパフライス
この日のナシュタは薄い全粒粉のおせんべい 
(カクラ/Khakhara)
どれもチャイに良く合います

前回のブログ「アーユルヴェーダのパンチャカルマを受ける準備」でご紹介しました、アーユルヴェーダの浄化療法と言われるパンチャカルマを実際に受けて来ました。

パンチャカルマを受けて思う事

思い切ってパンチャカルマを受けてよかった!
   
リウマチの痛みとこわばりが減って、約20日間はその状態が維持されていた

行く前は、痛み止めの薬を毎日半錠ずつ飲んでいましたが、入院していた20日間で2回(半錠ずつ)のみ。痛みやこわばりも減りその状態がしばらくですが維持されていて、ゴアへ戻ってからも痛み止めの薬はまだ一度飲んだきりです。病歴が長い場合は、年に2~3回のパンチャカルマと食生活、生活パターンの見直しを最低でも1~3年は続ける事が推奨されます。私もまた繰り返しパンチャカルマを受け、食事と生活習慣を整えて、時間はかかっても身体の内側からリウマチを改善していこうと考えています。

BSDTでパンチャカルマを受けてよかったと思えるその理由は?

  • 先生方や看護師、スタッフ一同の対応が丁寧で、雰囲気もアットホームでした
  • パンチャカルマを行う期間中は担当医が決められています。別室で行われる施術も担当のインターンの先生やセラピストから受けることが出来ます
  • パンチャカルマの一連の流れがスムーズです
  • 病院スタッフ内で、患者に対する情報交換や引継ぎなどが行き届いていました
  • 西洋医学とアーユルヴェーダ医学の統合病院なので、判断基準に幅があり安心感があります(採血、血圧、血中酸素を図る等)
  • 病室の衛生管理が行き届いていました(シーツ交換、清掃など)
  • 食事は胃の負担にならない材料が使われていて、シンプルで美味しい家庭料理でした
  • 病院の外で散歩が出来る自然環境に恵まれた立地です

※これはあくまでも私の個人的な印象です。インド滞在が長いので判断基準が少々甘いかも?!

残念だったことは?

夏(4、5月)のパンチャカルマはお勧め出来ません。

私が入院していたのは5月で、パンチャカルマもオフシーズン!入院している人も5月の始めはほとんどいなくて、病棟に私だけの日もありました。アビヤンガ(全身マッサージ)の後に行うスチームも夏で暑いからという理由から、身体をすっぽり囲う形のスチームには入れず、ホースから出るスチームを全身にあてていくというものでした。ゴアと同様、プーナの5月は猛暑の真っただ中。しかもプーナは元々とても乾燥した気候、湿度が年中高いゴアから行くと敵面にその違いが体感できます。そしてその違いに体がついて来れず?乾燥肌が悪化してしまいました。そして、BSDTは広々とした自然の大地が広がる敷地にあって、夏やモンスーン前は大地や草木がとても乾燥しています。突然の雨も手伝って花粉やちり、ほこりが舞いやすくなります。なので、花粉症、ほこりなどに敏感な方はモンスーン中7月以降からがおすすめです。(北インドなどは気候はまた違います。行かれる地域の気温や湿度などは調べておかれるといいかと思います)

入院病棟の部屋に通される

パンチャカルマ・ホスピタルのエントランス
パンチャカルマ・ホスピタルの屋上から見た
エントランス前方の風景

モンスーンが始まると、大地は緑で覆われます

パンチャカルマを行った場所は、プーナのワゴリにあるアーユルヴェーダ大学病院(BSDT’s Ayurved Hospital & Cancer Research Center)です。
ここにパンチャカルマを受けに来る人は、パンチャカルマのコースが始まる前日に入院し、終わった翌日に退院する事が多いようです(前後2日の滞在費は含まれません)
私もフライト時間の関係上、前日の夕方から入院しました(予め到着時間は伝えていました)
病院へ着くとすぐに、予約していた部屋(プライベート、セミプライべートなど)へ案内されました。
『貴重品管理は全て自己責任となり、病院側では一切の責任を取りません』と案内の用紙にもあったので迷ったあげくパソコンの持参は諦めたのですが、取り付けのワードローブには中の引き出しに鍵がついていて、ワードローブの扉にも鍵がかけられるようになっていました。パスポートなどの貴重品も含め、これだったらまず安心です、部屋を一歩出ると防犯カメラもしっかり設置がしてあります。なので、あまり心配をする必要はなかったようです。

プライベート・ルーム
(セミ・プライベートルームはソファーの代わりにパーティションで区切られている)
パンチャカルマ・ルーム
(部屋の横に併設。直接それぞれの部屋から入れて便利)

部屋に通されてから特にすることもないのでボーっと待機。今後の説明や施設の案内などはいつあるのかな?とインド時間でのんびり待っていると、チャイとスナック(朝ごはんや午後のスナックをナシュタと言う)が運ばれてきました。
朝からの移動で疲れていたのでチャイがおいしい。スナックも美味。乳製品は一切ダメと言われるかと思っていたので、チャイが飲めるのは嬉しかったです(笑)
BSDTの敷地内ではA2ミルクを提供してくれるギル牛が飼育されています。新鮮なA2ミルクで淹れたチャイは美味しくて、朝と夕方のナシュタとチャイは毎日の楽しみでした。

ナシュタの後、パンチャカルマ担当医とインターンの人、看護師が来られて、翌日からの予定などを教えて下さいました。

パンチャカルマ初日

初日は一番忙しくて、ホッとする間もありませんでした。
一日に行われた事をまとめます。

  • 7am : 採血、検尿(翌日は検便)、血圧と血中酸素のチェック
    朝一で出されるハーブティー
  • 8am : 朝食(ナシュタ)チャイと日替わりの軽い朝食
  • 9am : パンチャカルマ担当医との診察(いつもインターンの先生1~3人と看護師が同席)
  • 10.30am -12.00pm : パンチャカルマ
  • 12.30pm : シャワー
  • 12.45pm : ランチ
  • 1.45pm : サルデシュムク博士の診察(毎回必ずパンチャカルマ担当医とインターンの先生1~3人と看護師が同席)
  • 4pm : 胸のレントゲン撮影と心電図の検査(既に病気がある場合のみだと思われます)
  • 7.30pm : 血圧と血中酸素のチェック
  • 7.40pm : 夕食
  • 10.30pm : おやすみなさいー

いきなり延長!?パンチャカルマ14日間コース

前回の初診で伝えられた通りの「10日間コース」の予定でいたのですが、パンチャカルマ初日、医院長のサルデシュムク博士に診察でお会いすると「4日間延長できればその方がいいですね、可能ですか?」と聞かれ、少しうろたえるも、帰りの飛行機チケットはまだ買っていないのだし、折角来たのだから……とその場で承諾しました。
実は、早くも日程が延びた今回の滞在、予期せぬ発熱、生理などで21日間の長期滞在となりました(苦笑)

まさかの発熱と生理でパンチャカルマはお休み

パンチャカルマのコースが始まって2日目、お昼を食べてから、急激に体が重くて眠くて、頭痛も少し。なんだか様子がおかしいので、先生に相談をしたところ、身体の反応としてよくある事だからと言われ、部屋で休息をしていたのですが、喉の違和感、空咳も増したかと思うと一気に熱っぽさが出てきました。そして美味しいはずの夕食も楽しめず、7.30pmの回診では39度以上の熱が出ていました。翌日は再度血液検査と心電図を受けることに、結果は異状なく、来る直前に咳と熱で最悪の体調だった家族からうつったのであろうと診断が下りました。高熱への対処としては、解熱剤と、高熱が2晩続いたので抗生物質を3日間処方されました。3日間は日に何度も熱を測り、血圧と血中酸素チェックがあり、毎回食事前には洗面器ぐらいの大きさの鍋にトゥルシー(ホーリーバジル)を豪快に一枝入れて沸かしたお湯で「喉のスチーム」その後はハーブやターメリックの入ったぬるま湯で「うがい」というセットを必ずしました。
さて、熱が下がったと思ったら、今度は生理がやって来ました。パンチャカルマはまた延期です。

パンチャカルマを早く受けたいのに!(泣)

アーユルヴェーダのパンチャカルマを受けに来ても、途中、身体の不調を感じる事が無いとは言い切れません。そんな時、西洋医学との融合を試みている病院だから出来る総合的な対処は安心感が得られました。

パンチャカルマ再スタート

一日のスケージュールはだいたいこんな感じ

やっと復帰できたパンチャカルマ、週に2~3回あるサルデシュムク博士との診察、診断によって内容が決められます。

パーソナライズされた施術内容とオイル

パンチャカルマで行った事

  1. カティ・バスティ(Kati Basti) : 背骨に沿って、練った生地(パン生地みたいなもの)で囲いその中に温めたオイル又はギーを入れ、しばらくおきます。
    カティ・バスティ療法は伝統的なアーユルヴェーダの治療法で、下腰痛や腰仙部の障害、椎間板ヘルニア、腰椎脊柱管狭窄症、坐骨神経痛、脊椎の問題などに使用されます。
  2. ジャヌ・バスティ(Janu Basti) : 膝の周りに練った生地(パン生地みたいなもの)で囲いその中に温めたオイル又はギーを入れ、しばらくおきます。
    ジャヌ・バスティ療法は、膝の痛み、こわばり、不快感に対処し、膝関節の動きを容易にします。サンスクリット語で、ジャヌは膝を意味し、バスティは保持することを意味します。
  3. スネハナ(Snehana/Oleation):全身をオイルでマッサージと耳の中にオイルを吸わせたコットンを入れます。
    スネハナまたはオイル療法は、身体を特別なパンチャカルマ治療を受けられるように準備する最も重要な療法の1つ。この療法では、薬用オイル、ギー、ハーブを決められた期間、身体の内側と外側に塗布します。スネハナは体内のアーマ(毒素)とドーシャを緩め、後の段階で行う療法により、それらの排出を促進するためにとても重要です。
  4. スヴェダナ(Swedana) : 薬草の入った圧力鍋から出されるスチームをホースの先から出し、全身に当てていきます。
    スヴェダナ療法は、体内の毒素を導いて集めることを目的としています。どの体腔でも、薬用ハーブを体内に導入することができます。
  5. シロダーラ(Shirodhara): 額にオイルを途切れないように少しづつ流し続けます。
    シロダーラ療法は、温かいハーブオイルを連続的に額に注ぐことを含む古典的なアーユルヴェーダ療法で、良質な睡眠を促進し、不安、うつ、恐れなどのストレスを軽減し、集中力を高めるのに非常に効果的であると言われています。
  6. シロアビヤンガ(Shiroabhyanga): オイルで頭のマッサージをします。
    シロアビヤンガ療法は、神経系を落ち着かせ、安眠を促進することで、頭痛、片頭痛、不眠症を緩和するのに役立ちます。シロは頭を意味し、アビヤンガはマッサージを意味します。
  7. ナスヤ(Nasya) : オイルを4滴ずつ点鼻します。
    ナスヤ治療は、鼻の通路を浄化し、清潔にし、強化し、深い呼吸が楽にできるよう促します。数ある利点として、胸部鬱血、アレルギー、副鼻腔炎、頭痛、片頭痛、頚椎症、抜け毛、若白髪、鼻炎、およびその他の鼻の感染症に有効とされる治療法です。
    ナスヤの後は必ずでハーブやターメリックが入ったぬるま湯でうがいをします。
    ガンドゥーシャ(Gandusha/うがい、オイルプリング)
  8. バスティ(Basti/Medicated Enema) : 浣腸(オイルのみ350ml)と大浣腸(オイル+薬草を煮詰めた液体 450ml
    毎日、日替わりで浣腸と、大浣腸を行います。
    バスティ療法は、腹部のヴァータから生じる障害や全身のヴァータから生じる障害に対して最も効果的で、慢性便秘、腰痛、坐骨神経痛、リウマチ、痛風、関節炎などの治療に役立ちます。

※それぞれに3日間~7日間など、決められた日数を行うものと、パンチャカルマの期間中通して毎日行うものがある。

パンチャカルマで使用されたオイル

  • シロダーラ : ジャタマンシ オイル / Jatamansi oil
  • バスティ : ダシャムーラ オイル / Dashamoola oil
  • ナスヤ : ヤスティマドゥ オイル / Yashtimadhu oil
  • スネハナ : ギー / Ghee (両脛に湿疹とひどい痒みがあったのでオイルでなくギーを使用)
    ※ギーは確かに痒みを抑える作用があり、しばらくは落ち着くのですが、また痒くなってしまい辛かったです(泣)
    そして、この湿疹には「レパ」と呼ばれるハーブの塗り薬とアロエベラにターメリックを加えたペーストを午前と午後の2回、患部に塗布してもらっていました。
    身体の内にある余計な熱を取り、乾燥を防ぐ効果があるそうです。

スキマ時間の有効活用

ライブラリーと呼ばれる本棚
インド関係の本も多い

パンチャカルマは通常、午前中に終了します。午後の自由時間は体をゆっくり休めたり、夕方は外へ散歩に出かけたり、ヨガのクラスに参加したりします。私は非日常な時間を満喫しつつ、基本はのんびり。水彩で絵を描いたり、読書をしたり、アニメを見たりしていました。

BSDTにはスタッフがライブラリーと呼んでいる本棚があります。日本語や英語の本を借りることが出来てとても便利ですよ(日本やドイツなどの海外からもパンチャカルマを受けに来られるので、読み終えた本を置いて行かれるのでしょうか?)

今、思う事

私はインターンの先生にパンチャカルマの施術を受けていたので、全身マッサージから最後のエムネマ(浣腸)まで全ての工程を受けました(セラピストは浣腸を施してはいけない決まりのようです、代わりにインターンの先生が行います)

施術担当のアシュウィニ先生と、朝晩の脈診と血中酸素のチェックに来られるチャイタリ先生とは毎日病室でお会いします。なので、日々の体調についてはもちろん、その他いろいろなお話が出来て楽しかったです。
この先輩後輩にあたる二人は、アーユルヴェーダと西洋医学が習得できるBSDT統合大学病院で6年間の勉強を終了し、医師の資格を取得、現在は大学院(3年間)で勉強中です。
大学院2年目のアシュウィニ先生は、博士号を取ったら地元に戻ってアーユルヴェーダの医師として働きたいと言っていました「私の友人はみんな結婚して子供もいるけど、私は勉強を貫くの、でも実家に戻ったらそうは行かないでしょうね(笑)」と淡々と語る彼女、三人兄弟のうち二人は既に西洋医学の先生として地元で働いているそうです。
チャイタリ先生はというと、ムンバイ出身の都会っ子。卒業後はムンバイに戻り、ICU(集中治療室)の救急外来で働いてみたいと教えてくれました。そして将来はアーユルヴェーダを西洋医学に取り入れた治療をして行きたいそうです。
2人ともインターンとして働く事で実際に患者さんと接し、アーユルヴェーダの効果は実感していると自信を持って語ってくれました。
現在のインドにおいて、若い世代の医師達が西洋医学と伝統医学の融合を前向きに捉えているのは、アーユルヴェーダの新しい可能性を感じると共に、とても頼もしく、楽しみだなと思いました。

パンチャカルマは2回目以降、その効果をもっと感じられるようになるそうです。私は次回にも大きな期待を持ちつつ、受ける日を楽しみにしています。それまでの間、日々出来るだけリラックスして楽しく過ごせるように心がけています。
パンチャカルマは、健康を維持する上で素晴らしく有効な浄化療法です。長い年月をかけ体に溜まった余計なゴミの断捨離?!一度試してみられてはいかがでしょうか。とってもおすすめです💛

美味しすぎるインドのナシュタ
パール・ミレット(バジャーラ)のウプマ

インドの代表的な朝食の一つ→ウプマ

日替わりランチ、通常ダール・ライスが定番だけど 
この日はキャロットスープとベジタブル・プラオでした
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